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必ずやってくるバッテリー交換。知っておきたい非純正バッテリーの“リスク”

こんにちは。
独立行政法人製品評価技術基盤機構 NITE(ナイト)広報企画室です。

コードレスで使える充電式の家電は、いつの間にか当たり前の選択肢になりましたね。たとえば電気掃除機。取り回しが面倒なコードがないだけで、掃除がずいぶん楽になりますよね。バッテリーが使われている製品は、電気掃除機のほか、電動工具、スマートフォンやパソコンなどどんどん増えていて、私たちの生活を快適にしてくれています。

ただ、バッテリーはおおむね数年で寿命がやってくるので、新しいバッテリーに交換しなければなりません。

そこで、今回は純正でないバッテリーの“リスク”についてお伝えしたいと思います。


家を全焼する火災になるケースも

これだけ充電式の家電などが増えてくると、「バッテリーの交換は経験済み」という方は多いのではないかと思います。メーカーが提供している(純正)交換用バッテリーの価格を見て「もっと安いヤツないかな」と探した方も少なくないでしょう。

Webで探してみると、安いものもあります。でもよく見ると「互換」などと書かれていませんか。これは、メーカーが提供している純正のバッテリーではないということ。実は、純正でないバッテリーでは事故が多発しており、なかには家が全焼してしまったケースもあります。

NITEが収集したデータでは、純正でないバッテリーの事故は2018年から2022年の5年間に165件。件数が多いうえに、家の全焼に至る事故も毎年発生しています。事故の多くは、使用中や充電中に発生していますが、最近では、使ってもいない、衝撃を加えてもいないのに、ただ置いておいただけで発火したというケースもあるのです。

製品ごとに、どのような被害状況なのかを示したのが、以下のグラフです。

製品別・被害状況別の事故発生件数(2018年~2022年)

オレンジ色部分の「拡大損害」とは、製品自体以外の身体や財産、第三者に与えた損害のこと。非純正バッテリーによる事故の多くは拡大損害につながっていて、すべて発火を伴う事故です。そのうち7件は家を全焼しています。


純正だと良いことがあるの?

一般に「純正」とは、機器本体のメーカーが提供している部品などに使われる言葉です。たとえば電気掃除機のバッテリーならば、掃除機のメーカーが、その掃除機に取り付けて使用するためのバッテリーとして提供しているもの、もっと端的に言えば、電気掃除機を購入したときに設置されているバッテリー、これが純正バッテリーです。

純正バッテリーは価格が高めですが、何か良いことがあるのでしょうか。

純正バッテリーは、機器本体と一体で安全性、信頼性などのテストや評価が行われており、品質の管理も本体と同様に徹底して行われています。万が一、製品に原因がある事故が発生した場合は、機器メーカーの保証が受けられるようになっています。

またリチウムイオンバッテリーは、安易に捨てると発火などの危険があるため、決められたルートでリサイクルしなければなりません。純正バッテリーなら、メーカーがリサイクルの団体に加入しているため、取扱説明書やメーカーのWebサイト等の記載に従えば、正しいルートで安全に手放すことができるのです。


安くて良いもの…… ならうれしいけれど

純正でないバッテリーの場合はどうでしょう。もちろん、安価で高品質、高性能ならうれしいですし、実際そういう製品もあると思います。

一方で、残念ながら品質管理が十分に行われていないケースもあります。電池内部に異物が混入していた、部品に不良品が使われていた、安全装置が働かなかった、そもそも安全装置が搭載されていないなどが原因の事故も発生しているのです。

不具合が生じたり、万が一事故が発生したりしても、純正ではないため機器メーカーのサポートや保証は受けられないと考えておいたほうがいいでしょう。そのバッテリーの販売業者に相談しようにも、問い合わせ先がわからなかったり、連絡できたとしても対応していなかったり、日本語が通じなかったりするなどのリスクもあります。

廃棄する際も、機器本体のメーカーは回収してくれませんから、どのように廃棄すれば良いのか自力で方法を探す必要があります。自治体が回収ルールを定めている場合もありますが、回収していない自治体も少なくありません。

また日本で製造、輸入、販売する電気製品は、電気用品安全法に基づいた技術基準を満たしている必要があり、満たしていることを示す「PSEマーク」を表示しなければなりません。純正品でないバッテリーには、技術基準を満たしていないものもあります。悪質なケースでは、満たしていないのにPSEマークを表示していることもあるのです。


粗悪品を買わないために

純正でないバッテリーは、インターネットで購入する方が多いのではないかと思います。できるだけ粗悪品を購入しないようにするために、以下のような掲載がある場合は注意してください。

  • 説明文などで日本語表記がおかしいもの。

  • 他の製品と比較して極端に安価なもの。

  • 評価レビューなどで、おかしな日本語表記で高評価ばかりのもの(やらせレビューの可能性があります)。

  • 海外から発送されるもの(安全基準の順守など電気用品安全法の義務が履行されません)。

  • ”PSEマーク取得”などと書かれているもの(日本で流通する電気製品にはPSEマークはついているのが当たり前です)。

これは、純正でないバッテリーのコピー品という悪質な例です。電気用品安全法の技術基準を満たしていないのに、PSEマークを表示しています。日本語表記も「リチウム」の「り」はひらがな、「イオン電池」は「オン電池」と、変な表記になっています。

便利な充電式の家電ですが、バッテリーを交換したら事故にあってしまった…… ということがないように、交換用バッテリーは慎重に選びたいですね。

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