【前編】お真面目とおふざけの化学反応!YouTubeで18万回再生を超える動画、「鷹の爪団」のNITE刑事は、こうしてできた!!
YouTubeで18万回以上再生されているこの動画「NITE刑事」は、NITEが『秘密結社鷹の爪』とコラボして制作したものです。製品事故などのリスクを広く知ってもらうために、そしてNITEの活動を広く知ってもらうために、動画制作のプロジェクトは動き始めました。
『秘密結社鷹の爪』は、2006年にテレビ放送を開始してから16年。個性あふれるキャラクターたちは、ときに映画で七転八倒し、ときに国の機関や地方自治体とのコラボを行い、活躍の場を広げています。
NITEと『秘密結社鷹の爪』のコラボは、どのように始まったのでしょうか。NITEが伝えたいことを、おもしろく、かつ正確に伝えるために、制作陣はどんなことを考えていたのでしょうか。『秘密結社鷹の爪』の制作を担う株式会社ディー・エル・イー(以下、DLE)の木津さん、安倍さん、NITEの吉田、小松、山副に話を聞きました。
『鷹の爪団』とNITEのコラボの始まり
ーー今回のコラボプロジェクトが始まったきっかけや背景を教えてください。
小松:実は、NITEの業務はみなさんの生活と身近に関わっています。今回の動画制作は、NITEをもっと良く知っていただくためのプロジェクトの一環として行いました。私自身、NITEのことをもっと世の中に知ってもらいたいという強い気持ちがありました。
木津さん:正直に言うと、私はこのプロジェクトに関わるまでNITEさんの存在を知りませんでした。しかしNITEさんの事業などを調べると、特に製品安全は自分たちの生活に深く関わっていると感じたんです。「自分たちの生活はこういう風に守られているんだ」と思ったのが率直な感想ですね。
「自分は知っているのに、なんでみんな知らないんだろう」という考えではなく、知らなかった立場から「何を伝えたら良いんだろう」と企画を進めていきました。
ーーDLEさんは、どんな点を重視して提案しましたか?
木津さん:NITEさんは、認知拡大を目的にしていました。しかし、当時の仕様書や広報室の方とのやり取りのなかで、重視しているのは「認知」だけでなく「理解」だと感じていました。
NITEという名前だけを認知してもらうのであれば、オリジナルソングを作って何度も流すことで覚えてもらえる方法もあります。しかし、NITEという名前だけではなく、各部門の特徴や「どんな風に私たちの生活を守っているか」を知ってもらったうえで、NITEのことを広く知ってもらいたい、と。
そこで、NITEのことを知らない人に動画を見てもらう方法として、『鷹の爪団』だけではなく、他のオリジナルアニメーションも提案に含め、ストーリーを作りました。情報だけをわかりやすく伝えるやり方ではなく、『鷹の爪団』やオリジナルアニメーションを軸にして情報を肉付けしていく方法にすることで、全くNITEを知らなくても「ストーリーがおもしろいから見てみよう」と思ってもらえることを期待しました。
安倍さん:ふたつ提案させていただき、ひとつが『鷹の爪団』の「NITE刑事」で、もうひとつがオリジナルキャラクターを用いたアニメーションでした。オリジナルアニメーションの方は、「NITEの認知拡大を請け負った広告代理店」というダイレクトな設定でした。
ただ、「難しいことがらを噛み砕き、楽しく解説する」という部分は『鷹の爪団』が得意なので、NITEさんの案件には一番マッチすると思いましたね。
おもしろさと正確性の両立を実現するには?
ーコラボ動画を制作するなかで難しかったのはどんな点でしたか?
木津さん:専門用語をおもしろく、かつわかりやすく表現し、そのうえで正確性を保つことです。シナリオをNITE各部門のみなさんに確認してもらった際には、「この情報は古い」「この表現は誤解を生みやすい」などのご意見をいただきました。シナリオを書き直した動画もありました。
安倍さん:構成を書き直したのはUPS(無停電電源装置)を取り上げている#5の動画です。完成した動画では地下商店街を舞台にしているのですが、最初は工場が爆破されてしまう設定のシナリオでした。しかし、「爆破するのはどうなのか」と(笑)。そこで、構成を書き直しました。
吉田:最初のシナリオの段階では、もう少し“世間”の感覚に響くものを用意していただいていたのですが、いろいろとしがらみもあり、最終的には丸くなりすぎてしまったのが残念です。今となっては、もう少し戦っておけば良かったのではないかと思っていたりします(笑)。ところで、UPSのギャグは、直ぐに分かる人と分からない人がいて、どうも年齢が関係しているようです。
一般の方に向けて出すメッセージの正確性を追求するがために、専門的な表現を多用することが習慣化されており、自らが気づきにくい状況にありました。
そこで、今回の動画制作においては、正確性とわかりやすさを両立させることに一番苦労しました。この点においては、DLEさんの努力により、NITEの業務説明をそれなりに親しみを持って頂けるような分かりやすい動画になったのではないかと考えています。
山副:NITEは子羊ちゃんのような組織なんですよね(笑)。誤解を恐れずに言うと、今回『鷹の爪団』とコラボするのは“悪ふざけ”のように捉えられてしまうのではないかと不安を感じていました。しかし結果はすごく好評で、NITEやその活動について一般の方にも伝えたいという思いが成就したのではないかと思います。
私が室長であれば、生まれなかった企画だと正直思います。私は、特にクリエイティブ系のお仕事は、多数決では良いものは生まれないと分かっているのですが、チャレンジする際は、どうしてもリスクをとりたくないので、まわりの意見を聞いてしまいます。今までのNITEでは、“悪目立ち”をおそれるがあまり、実現できなかったのではないかと考えています。
前室長の吉田は、覚悟を持って「鷹の爪団」とのコラボによる動画制作を行ったのではないかと邪推しています。斬新なアイデアを「NITE刑事」で形にしてまわりに見せることで、突破してくれたので、新たな広報の形にNITEもチャレンジできる、ある程度奇抜なことをしても良いのだという雰囲気が今ではできています。
小松:これまでNITEは、おもしろさやわかりやすさを大切にしながらも正確性を保って情報発信する方法に悩んでいました。その点を、DLEさんには上手にわかりやすく作っていただいたと思っています。
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