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製品の正しい使い方を伝えたい!だから、私たちはYouTuberになった。

NITE広報室です。

みなさんは「せいあんちゃんねる」って知っていますか? 

「せいあんちゃんねる」は、エアコンや電子レンジなど、私たちが日々のくらの中で利用している「製品」の使用に伴って発生する事故(製品事故)を防ぐ使い方などを紹介しているYouTube動画です。

2021年9月、製品事故について広く知らせるために、NITEは「せいあんちゃんねる」の配信を開始しました。
ちなみに「せいあん」とは、「製品安全」の略でNITEでよく使われる言葉です。

「せいあんちゃんねる」が生まれたきっかけや「伝える」ための苦労などについて、NITE 製品安全センター製品安全広報課 課長の山﨑卓矢に話を聞きました。

今回は、インタビュー形式でお伝えいたします。

きっかけは「消費者に向けて分かりやすい動画を配信したい」という思い

「せいあんちゃんねる」を統括する山﨑課長


——「せいあんちゃんねる」を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

NITEの業務のうち「製品安全分野」に取り組んでいる製品安全センターは、これまで広報業務の一環として製品事故に関する消費者啓発動画を報道機関向けに流していました。しかし、ニュースなどで取り上げられるときに動画の一部のみが切り取られることもあり、私たちが伝えたいことが十分に届いていないのではないかと感じていました

そこで、私たちの伝えたいことを消費者に直接届けられるコンテンツを作ってみようと考え、「せいあんちゃんねる」の立ち上げに至りました。すでに、農林水産省がYouTubeチャンネル「BUZZ MAFF(ばずまふ)」でくだけた雰囲気の動画を配信していたので、お堅い印象の公務員でも親しみやすい消費者向けの情報発信ができる、と勇気づけられました。

製品事故の被害者が不快にならないようなコンテンツ作りを意識


——自転車の点検やストーブの使い方など、身近なテーマが目立ちます。どのようにテーマを選んでいますか?

250本ほどストックのある主に報道機関向けの事故再現動画(YouTubeでも一般公開)から選ぶか、テーマを検討して決めるかのどちらかです。ただ、始めたばかりのYouTube配信に慣れるために、動画として制作しやすいテーマを優先的に選んでいる、というのもあります。


——動画を制作するうえで、意識していることを教えてください。

親しみやすく、大人にも子どもにも理解しやすい動画となるよう心がけています。オープニングの黒板っぽい演出も、堅苦しいものにならないようにと考えたアイデアです。タイトルコールには職員とそのお子さんの声を使って、ご家族みんなに向けた動画であることを演出しているつもりです。

 一方で、伝えたい対象によって、動画に登場するキャラクターや伝え方などは工夫しています。たとえば、子どもが被害に遭いやすい事故について保護者に理解して欲しいときは、ニュースキャスターのようなスーツ姿で真正面からしっかり伝える、子どもたちに伝えたいときは白髪の博士のキャラクターが登場して、最後まで飽きずに、楽しく見てもらえるようにする、という具合です。


——くだけた表現と真面目さのバランスを取るのが難しいように思いますが……?

そうですね。製品事故にはケガをしたり、亡くなったりしている事例もございますので、その方たちが不快にならないよう気を付けています。

 バランスを取るための基準は設けていませんが、あおりすぎ、攻めすぎになっていないか、逆にもう少し面白くするためにくだけた感じのほうがいいんじゃないかなど、そのときどきで微調整しています。


当初は恥ずかしがっていた職員も今では演技が板についてきた

——1本の動画を制作するのに、どのくらいの日数がかかっていますか?

台本を書いて撮影の準備をするのに3〜4日、撮影自体はコンテンツによりますが、1〜2時間から半日かかります。撮影後の編集に最低3日、その後、言葉使いなどのチェックを経て公開しています。

——「せいあんちゃんねる」には、実際の職員さんが出演しているとのことですが、出演した職員さんに変化はありましたか?

当初は顔出しなどもあって恥ずかしさもあったようですが、最近では演技が板についてきました。人に分かりやすく説明をする、といった広報スキルも向上しているように思います。

——動画のシナリオや出演者はどのように決めているのでしょうか?

シナリオは、製品安全広報課の課員が自由な発想でアイデアを出し合って決めています。職員以外に外部のゲストをお呼びするときはテーマに合ったメーカーさん、団体さんにこちらから声をかけています。ゲストの方々は、最初は「私でいいんですか?!」などと驚かれますが、快く引き受けていただいていますね。

——これまでの動画制作の中では、どのようなことに苦労しましたか。

当初は、慣れないYouTube配信ということもあって、つい手元の台本を気にして目線が下を向いてしまうなど、何度も撮り直したことがありました。今では慣れてきたので、何十回も撮り直すといったことはなくなりましたね。

また撮影では、事故の様子をできるだけ再現しながら、職員にケガがないようにしなければなりません。たとえば自転車事故の注意喚起の動画では派手に転ぶシーンがあるのですが、ケガを避ける転び方が難しかったですね。

——動画に対する反応にはどうですか?

NITEの方針としてYouTubeのコメント機能をオフにしているので、視聴者の方からの直接の反応は分かりません。ただ、NITE職員や職員の家族からの反応は上々です。お子さんをお持ちのお母さんが動画をママ友に教えてあげた、周囲に拡散した、などといった話も聞いています。

あるイベントの参加者に「せいあんちゃんねる」の動画についてアンケートを取ったときには、「もっとくだけた感じでやるべきだ」「ふざけすぎだ」と正反対の意見をいただいたことも。ただ私たちの目的は、「注意してください」と伝えることです。そのためには動画を最後まで見ていただくことが重要ですから、ある程度くだけた内容の動画で「せいあんちゃんねる」を身近に感じてもらうほうがいいのではないかと考えています。

「せいあんちゃんねる」をもっと多くの人に知ってもらいたい

——「せいあんちゃんねる」として伝えたいポイントを教えてください。 

「製品事故」を扱った動画を見て、製品を使うことを「怖い」と感じてしまう人もいると思います。でも、動画では「どう使えばよいか」ということもお伝えしていますので、正しい使い方を知って使っていただきたいですね。

 例えば、自動車事故では毎年何千人も亡くなっていますが、車の利便性が高いのでリスクを承知で使っているというのが現実です。だから交通事故に気をつけよう、ということを知ってもらう必要があります。リスクと利便性のバランスをうまく取りつつ、消費者に伝えていくことが大事だと考えています。

これまでに公開した動画の中では、レーザーポインターで風船を割る動画は、特にそのあたりのバランスがとれていると思います。風船という小道具を使って子どもにも興味を持ってもらいながら、かつレーザーポインターの危険性を伝えることができたのではないでしょうか。


——今後の目標をお聞かせください。

反応のバロメータは視聴回数だと考えているので、まずは視聴回数を増やすことが目標です。今は「せいあんちゃんねる」のことを講演会で告知したり、オンラインイベントの休憩時間に動画を流したりしていますが、今後はTwitterやnoteなどいろんな媒体を使って知名度を上げていきたいと考えています。

NITEで公開している動画の中で特に視聴回数が多いのは、報道機関向けに制作したエアコンの発火事故の再現動画で、これまでに200万回以上も視聴されています。「せいあんちゃんねる」の動画の最高視聴回数は5,000回くらいなので、100万回、200万回の視聴を目指していきたいですね。

また、メーカーさん、団体さんとのコラボは機会があれば今後も取り組んでいきたいと考えています。コラボ動画がきっかけでNITEを知ってもらえると嬉しいです。


——この記事の読者に伝えたいことがありましたらお願いします。

製品事故はNITEが扱っているものだけで年間1,000件以上発生しています。製品事故を100%防ぐことは難しいですが、正しい知識を持っていれば被害を軽くすることは可能です。「せいあんちゃんねる」の動画を通して、製品事故を他人事ではなく自分事として捉えていただきたいと思っています。製品事故防止の知識をみなさんに届けることで、難しくても、事故がない世界を目指したいと思っています。


さいごに

NITEは、製品事故を防ぐためにいろいろなことを考えているのですね。普段何気なく使っている製品で思わぬ事故に合わないためには、正しい知識を得ることが重要なのだなと思いました。私も今日から「せいあんちゃんねる」で勉強して、友人や家族にも教えてあげたいと思います。


◇ ◇ ◇

NITE 製品安全センターには、消費生活用製品安全法などの法律に基づき、一般消費者が購入する消費生活用製品(家庭用電気製品やガス・石油機器、身の回り品など)を対象に毎年1千件以上の事故情報が寄せられます。
NITEは、こうして収集した事故情報を公平かつ中立な立場で調査・分析して原因究明やリスク評価を行っています。原因究明調査の結果を公表することで、製品事故の再発・未然防止に役立てています。

なお、NITEが受け付けている事故情報は、製造・輸入事業者からの報告のほか、消費生活センターなどの地方公共団体や消防・警察からの通知となっております。 

皆様が、製品事故などのトラブルに遭われた場合は消費者ホットライン「188」にご連絡、または、各地域にある消費生活センターへご相談ください。


 


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